CBA会議の進捗状況(続報)

MLBPAに対するMLBの新しい提案がなされました。新しい団体交渉協定の交渉を前向きな方向に進めることを望んでいます。

最低賃金の増額

MLBの提案は、MLBPAに以下の2つのサラリー・システムから選択することを提案しました。

提案-1

選手は2022年に$ 630,000の最低賃金を受け取ります。この金額は以前のルールでは、メジャー1年目の選手が受け取った増額金額$ 27,500の2倍以上です。
このルールでは最低賃金に上限を設けていません。つまりチームは、任意に昇給を行うことができます。2021年から2022年までの1年で$59,500増加しますが、これはこれまでのルールでの5年間の増加金額の$63,000ドルに相当すると主張しています。

提案-2

メジャー・リーグ・サービス・プレーヤー(略称:MLS)、つまりメジャー・リーグ支配下枠(ロースター)在籍年数が1年未満の選手には$615,000、1年以上の選手に$650,000、2年以上の選手に$725,000ドルを支払う段階的な給与体系です。提案ー2は提案-1よりも$15,000サラリーが増加します。
また、現在の最低賃金である$570,500ドルと比較しても、この提案では選手は最初の3年間で約16%($278,500)の昇給を意味します。ただしこれは、調停前のボーナス・プールのルールは考慮されません。

調停前の選手に対するボーナス・プール

MLBは、MLSが3年までのグループに属する選手の中でもトップ・パフォーマーに報酬を与えるために、リーグが資金提供するボーナス・プールを作成するというMLBPAの提案には同意していました。 MLBは、土曜日に報酬金額を$1,000万から$1,500万に増やしました。この増額は、MLBPAが前回$1億から$1億500万にと提案したものと同じ増加金額です。それでも報酬には1桁の隔たりがあります。

MLBの提案には、このボーナス・プールの資金を決定する指標であるWAR(Wins Above Replacement)を作成するための合同委員会(MLBから3名、MLBPAから3名)の設立が含まれています。この提案では、平均して、上位30人の調停前選手の給与が74%増加することを意味します。
(余談ですが、現在WARを算定している有名な2つのグルプFangraphsとBaseball-Referenceは選手の報酬をWARに依存させることへ懸念を表明しました。)ちなみに2021年のWARのトップは大谷翔平選手でした。こちらのサイトをご参照願います。

ぜいたく税(バランス税)の引き上げ

MLBはぜいたく税の上限金額を、以前の提案からをそれぞれ200万ドル引き上げることを提案しました。具体的には2024年($2億1600万)、2025年($2億1800万)、2026年($2億2200万)です。

さらにMLBは、ぜいたく税の金額を超えた場合に、ドラフトの選択権を没収するルールを撤回することにより、MLBPAに譲歩をしました。 ただし$2億3400万を超えたチームのみがドラフト選択権の没収の対象となります。

チームのサラリーの合計金額が$2億3400万を超えたチームは、2巡目の選択を失います。さらに$2億5400万を超えたチームは、1巡目の選択を失います。この提案に基づきますと、2021年では23回のドラフト権を失う結果でしたが、14回に減少します。

メジャー登録期間

MLBはドラフト選択権のインセンティブを追加して、チームはトップ・プロスペクト選手のメジャー登録期間を管理することを制限しました。また選手が個人タイトルの投票で特定の水準に達した場合、そのチームは1選手ごとに2枠のドラフト選択権を獲得することができるよになります。

MLBは、メジャー登録が60日未満のすべての選手に資格要件を調整することを提案しました。これにより、チームが怪我人の代わりにプロスペクト選手を使用しないという制限がなくなります。(つまり、あるシーズンで60日未満のメジャー登録された選手でも、次のシーズンでも資格があります。)

さらにMLBの提案は、各チームがルール4ドラフト選考と国際選考の両方での選手の獲得を認めることにより、トップ・プロスペクト選手の獲得を促進するインセンティブも高めました。

その他の議題

・2019年と比較した場合のルール4の契約金と国際ドラフトの枠を増やして、アマチュア選手に$2300万以上の追加支出を追加する。

・ドラフトの方法をNBAスタイルに変更する。

・健康保険パッケージの改善。

・ナショナル・リーグにもDH制を導入することを検討しており、ベテラン選手にとって指名打者の追加は打者のキャリアを伸ばすのに役立ちそうです。

ポスト・シーズンの拡張

MLBはMLBPAが提案しているプレーオフ進出チーム数を12チームではなく14チームへの増加を提案しています。これによりプレーオフのゲーム数が増加しますので、プレーヤーのプレーオフの出場資金を増やすことができます。また出場チームが増えると100人以上の選手がポスト・シーズンに出場できることも意味します。

MLBは北米のメジャー・スポーツで唯一サラリー・キャップ制度を設けていません。$3億ドル相当の契約が保証されており、選手が契約できる期間に制限はありませんでした。

テーマが多岐にわたり条件にも隔たりがありますので、少なくともスプリング・トレーニングの開始は遅れる見込みです。レギュラー・シーズンが予定通り開催されることを祈ります。

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