シーズン・オフに知っておきたい用語

MLBは2023年シーズン・オフに突入し、選手は束の間の休息を取り、リラックスする時間を設けます。もちろん来期を見据え日々トレーニングを行っている選手ももちろんいるでしょう。球団のフロント陣には休みはありません。2024年のシーズンを見据え、FAやトレードで選手を獲得し、監督、コーチ陣の入れ替えなど忙しい毎日が待っています。

「ホット・ストーブ・リーグ」と呼ばれるリーグが、レギュラー・シーズン同様に関心をそそられます。そこではさまざまな専門用語が存在し、期限が設けられています。ここではその中からいくつかの用語をご紹介します。

知っておきたい用語

FAはいつから?

選手はワールド・シリーズ終了翌日からフリー・エージェントになります。 ただし終了から5日後までの交渉権は現所属チームのみに与えられます。6日以降は30球団との交渉が可能になります。

トレードはいつから可能?

メジャー・リーグ契約を結んだ選手は、トレード終了日(2023年は8月1日)からワールド・シリーズ終了日(2023年は11月2日)までトレードが禁止されます。 ワールド・シリーズ決勝戦の翌日(2023年は11月3日)からトレードが行えます。実際ブルワーズのマーク・キャンハ選手はタイガースにトレードで移籍が決まりました。

契約のオプションについて

契約のオプションは、選手契が現チームとの契約延長の条件であり、契約締結時に決まられています。 オプションを行使しない場合、選手はFAになります。

オプションには3通りあります。

1つは「クラブ・オプション」でチーム側が契約を延長するかを決める権限です。多くの場合、このオプションには、チームが行使しなかった場合の補償として「バイ・アウト」が設けられています。チームが来期の戦力として考えていないと判断した場合、あらかじめ決めていた金額を支払う事で契約を解除するものです。 その場合選手はFAになります。

次に、「プレーヤー・オプション」です。これは選手側が所属チームとの契約延長を決定できる権利です。

双方が権利を持つ「相互・オプション」もあります。名前の通りチームと選手の両方が同意した場合にのみ行使されます。

さらにオプションには「権利確定オプション(vesting option)」もあります。選手がシーズン前にチームと協議し決められた成績を越えた場合に支払う契約です。 一例を上げますと、打席数、投球イニング数、勝利数など1年間の規定の数字を設定し、その規定を超えた成績を上げた際に追加で支払われるものです。前田健太投手がドジャースと7年契約を締結した際の年棒は安いと言われましたが、このオプションを結んでいましたので実際には多くの金額が支払われます。

オプションの行使期限は?

ワールド・シリーズ終了から5日以内です。レッドソックスのジャスティン・ターナー選手は選手オプションを行使しFAになりました。

オプト・アウトとは?

複数年契約を結んだ選手が、契約途中年であってもFAになれる権利がオプト・アウトです。例をあげます。ザンダー・ボガーツ選手は2019年シーズン前にレッドソックスと6年1億2,000万ドルの契約を結びました。 この契約には3年後の2022年にオプト・アウトが設けられていました。 ボガーツ選手はそれを行使し、2022-23年のシーズン・オフにパドレスと11年総額2億8000万ドルの契約を結んでいます。

クオリファイング・オファーとは?

FAになる選手に対し所属チームが提示する契約です。MLBで年棒の高い125選手 の平均年俸に相当する金額で1年契約を選手にオファーします。 2023年は2,032万5,000ドルです。前年は1,965万ドルでした。

選手がクオリファイング・オファーを拒否してFAになり、その後他のチームと契約した場合には、その補償として前チームがドラフトの指名権を新チームから受け取ることができます。ただし新チームは1巡目指名権は剥奪されません。この権利はクオリファイング・オファーを受けていない選手、もしくはシーズン中にトレードで加入した選手がFA移籍してもドラフト権は発生しません。

クオリファイング・オファーの期限は?

クオリファイング・オファーは、ワールド・シリーズ終了後 5 日以内にFA資格のある選手に提出する必要があります。2023年の場合選手は11月14日午後4時(アメリカ東部時間)までにオファーを受け入れるか拒否するかを判断します。

年棒調停とは?

MLBでの勤続年数が3年以上6年未満の選手で、来季の契約を締結していない場合、年俸調停の対象となります。 勤続年数が2年以上3年未満の選手も一定の基準を満たしていれば資格を得ることができます。 

調停資格のある選手は所属チームと1月中旬の決められた日までに契約に合意しなかった場合、両者は来シーズンの年俸額を提示しなければなりません。公聴会までに合意に達しない場合は、仲裁委員会が両者の言い分を聞き、いずれか1つの条件(年棒)を選手の年俸として決定します。

今オフの契約期限は2024年1月12日です。仲裁審理は2024年1月29日から2024年2月16日までの期間に開催されます。

ノン・テンダーとは?

チームが40人ロースター(名簿)に登録されているFA資格の無い選手をノン・テンダーとした場合、チームは契約を拒否することになり選手はその時点でFAになります。(FA資格以前ですが)

調停プロセスで選手が多額の契約をチームに求めた場合や、他の選手を獲得するために40人枠を空けるためにノン・テンダーにすることがあります。

ノン・テンダーの期限は?

今オフは2023年11月17日です。

ルール5ドラフトとは?

40人のロースターを満たしていないチームが、他のチームの40人枠以外の選手を指名できるドラフトです。 このルールは出場に恵まれていない選手が他のチームに移籍しそのチャンスを広げるために出来たルールです。

18歳以下で契約した選手は、5シーズン以内にチームの40人ロースターに追加されなければ、ルール 5 ドラフトの資格対象になります。19歳以上で契約した選手は4シーズン以内です。

日本プロ野球でも現役ドラフトという制度が始まりました。

ルール5ドラフトは前シーズンの順位の下位から指名ができますが、全てのチームががルール5で指名を行いません。指名したチームは、該当選手が所属していたチームに10万ドル支払う必要があります。

該当選手は新チームの26人名簿もしくは故障者リスト(IL)に登録されなければなりません。もし登録されなかったし場合は5万ドルで元のチームに戻る必要があります。元のチームが該当選手を戻さない場合には、マイナーに所属させることができます。

ルール5ドラフトはいつ?

今オフのルール5ドラフトは12月6日に開催されます。

なぜオフシーズンをホットストーブと言うのか?

この言葉は 19世紀まで遡りアメリカの小さな町に期限がある言われています。その町では冬の間、人々が雑貨店や郵便局に集まり、鉄製ストーブで暖をとりながら野球をはじめさまざまな話題について話し合っていました。

20世紀に入り野球がアメリカ国内でさらに注目されるようになると、シーズン終了後から春の始まりの間のギャップを埋める時間の会話で各々の考えを表現する手段としてスポーツ・ライターに受け入れられるようになりました。ストーブで暖を取り話をする行為から「ホット・ストーブ」と言われた説です。

(※このコラムはこちらの記事を参考にしました。)

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