二グロ野球の歴史に敬意を表する現マイナー・チームのご紹介

ジャッキー・ロビンソンが1946年のスプリング・トレーニングでブルックリン・ドジャースとしてデビューしたときの背番号は42番ではありませんでした。デイトナビーチでプレーし、その後のトリプルAモントリオール・ロイヤルズでのシーズンを通して背番号9をつけていました。この番号が、黒人野球の歴史に敬意を表するマイナー・リーグ・ベースボールの「ザ・ナイン」構想の名前の由来となりました。

そして全米各地のマイナー・リーグのチームが、ニグロ・リーグと二グロ野球の歴史に敬意を表しています。ここでは背番号にちなんで9つチームをご紹介します。

アシュビル・ブルース

現アッシュビル・ツーリストズ:ヒューストン・アストロズのHigh-A

アッシュビル・ツーリストズの本拠地マコーミック・フィールドは、2024 年に創立100周年を迎えます。サザン・リーグのメンバーのアシュビル・ブルースは、1940年代半ばから1950年代半ばまでこの球場で試合を行い1946年~1947年はタイトルを獲得しています。 ツーリストズは2023年に最新のブルースのユニフォームを着て試合をし、ペナント・フラッグがマコーミック・フィールドに掲揚されました。

 

オースティン・ブラックセネターズ

現ラウンドロック・エクスプレス:テキサス・レンジャーズのトリプルA

オースティン郊外でプレーするラウンド ロック エクスプレスは、毎年オースティン・ブラックセネターズを祝います。このチームは半世紀にわたりニグロ・リーグに所属したり独立リーグに所属することで活動を継続しました。

象徴的な選手はウィリー・ウェルズで、同じニグロ・リーグのスター、クール・パパ・ベルが「世界で最も偉大な遊撃手」と彼を称しました。

 

フレズノ・タイガース

現フレズノ・グリズリーズ:コロラド・ロッキーズのシングル A

1946年に6 チームでウェストコースト・ニグロ・リーグに所属したフレズノ・タイガースについてはあまり知られていません。現チーム名であるフレズノ・グリズリーズは、ファンに地元の野球の歴史について知ってもらいたいと考え、2022 年にフレズノ・タイガースとして試合を行いました。 ところが当時のタイガースの試合中の写真が見つかりませんでしたので、グリズリーズは想像力を働かせてチーム・ロゴとユニフォームを作成しました。

メンフィス・レッドソックス

現メンフィス・レッドバーズ:セントルイス・カージナルスのトリプルA

40年間の歴史で3つの二グロ・リーグに所属したメンフィス・レッドソックスです。このチームには殿堂入り選手のターキー・スターンズ、ビル・フォスター、ダン・バンクヘッド、チャーリー・プライドを擁していました。

チームの本拠地ルイス・パーク(後のマーティン・スタジアム)は、ニグロ・リーグのチームが所有する数少ないスタジアムの1つでした。 メンフィス・レッドバーズは8月10日にレッドソックスに敬意を表するイベントを予定しています。ちなみにメンフィス・レッドバーズには田口壮氏、ラーズ・ヌートバー選手も所属していました。

ニューヨーク・ブラック・ヤンキース

現サマーセット・ペイトリオッツ:ニューヨーク・ヤンキースのダブルA

1931年に結成されたブラック・ヤンキース。1936年から1948年まで二グロ・ナショナル・リーグに所属していたニューヨーク・ブラック・ヤンキースは強豪チームでした。スター選手には、テッド・“ダブル・デューティー”・ラドクリフ、ミュール・サトルズ、サッチェル・ペイジがいます。現在のペイトリオッツは、チームに独自のアイデンティティとして、黒のヤンキースのロゴとユニフォームを作成しました。

ページ・フェンス・ジャイアンツ

現ランシング・ラグナッツ:オークランド・アスレチックスのHigh-A

バド・ファウラーは2022年に殿堂入りを果たしましたが、野球界では過小評価されている人物の一人と言えます。 1878年彼は最初のプロ・二グロ・チームの選手の一人となり、白人だけのチームともしばしば対戦しました。 人種差別により複数のクラブから追放されたファウラーは1890年代に中西部全域でペイジ・フェンス・ジャイアンツを含む二グロ・チームの組織の先駆けとなりました。 ラグナッツは毎年の試合でページ・フェンス・ジャイアンツのユニフォームを着用し、バド・ファウラーのボブルヘッド人形をギブアウエイでプレゼントしています。

ソルトレイク・オクシデンタルズ

現ソルトレイク・ビーズ:ロサンゼルス エンゼルスのトリプルA 

オクシデンタルズは1906年にソルトレークで結成され、米国西部で最高のチームの1つとしての地位を確立しました。 彼らは1908年に白人選手ばかりだったユタ州リーグに加わり、翌シーズンにはリーグ優勝を果たしました。 2023年シーズンにはソルトレーク・ビーズがオクシデンタルズとしてプレーしたとき、当時のユニフォームを着てプレーしました。

T-タウン・クラウンズ

現タルサ・ドリラーズ:ロサンゼルス ドジャースのダブルA 

2010 年からタルサ・ドリラーズは、1946年から1965年までプレーしていたセミプロのTタウン・クラウンズへ敬意を表したイベントを毎年開催しています。 2023年シーズンは特別なもので、チームの選手たちが初めてTタウン・クラウンズのユニフォームを着て試合をしました。 ドリラーズの本拠地である ONE OK フィールドはタルサのグリーンウッド地区になりますが、1921 年には種虐殺によって破壊された「ブラック・ウォール・ストリート」として知られる地区の近くです。

ウィチタ・モンロビアンズ

現ウィチタ・ウィンド・サージ:ミネソタ ツインズのダブルA

モンロビアンズは、もともとは1922年に創設されたブラック・ワンダラーズとして知られてたセミプロ・チームでした。1925年にクー・クラックス・クランのメンバーで構成されたチームを破ったときには劇的に報じられました。 ウィンド サージは 2023 年にオレンジ色のモンロビアンズのユニフォームを着てプレーしました。また敷地内の歴史博物館にはモンロビアンズに関連した展示物が展示されています。

以上のようにアメリカの野球にはざまざまな歴史があります。最近では過去の偉業を称えて復刻版のユニフォームを着用しての試合を開催したり、メジャーの試合を歴史的な球場で開催したり、イベントに工夫を凝らしています。

メジャー観戦のついでに、近くの都市にあるマイナー球場を訪れてみては如何ですか? かっこいいジャージを購入したり貴重なギブアウエイを受取ったりと古き良き野球に触れるのもいいのではないでしょうか?

(※このコラムはこちらの記事を参考にしました。)

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