2024年のシーズン途中、マイアミ・マーリンズからサンディエゴ・パドレスに一人の打者がトレードで移籍してきました。彼は両リーグで首位打者のタイトルに輝き、2023年の一時期は打率4割を記録するのではと話題にもありました。
そう、パドレスの1番打者ルイス・アラエズ選手です。
彼以前にもパドレスに所属し、首位打者を8回獲得し1994年に打率.394を記録した偉大なるアベレージ・ヒッターが存在しました。トニー・グウイン氏です。
グウイン氏の生涯成績はこちらをご覧ください。
不幸にも10年前に54歳の若さで他界しました。死因は癌でした。6月16日が命日ですが10年経過した今、グウイン選手の痕跡を紹介した記事が掲載されています。この記事を引用しコラムで紹介したいと思います。
経験値から導き出されたコーチング
メジャーリーガーとして最初のシーズン、数ヶ月間プレイしていたクインティン・ベリー選手は、どうしてチェンジアップが打てないのかわからなかった。ベリーは、元大学のコーチに電話した。トニー・グウィンが電話に出た。
サンディエゴ州立大学のヘッドコーチだったグウィンは、ベリーの打撃を一度も見ていません。それでもグウインは『これが起こっているんだ、君がチェンジアップに苦戦している理由はこれだ』と熱弁。ベリー打撃フォームを修正し、その後5年間メジャーリーグで活躍した。2024年現在、ミルウォーキー・ブルワーズで一塁コーチを務めています。
クインティン・ベリーの成績はこちらをご覧ください。
若き才能を持つ選手をサポート
ジョー・マスグローブ投手は、サンディエゴ州立大学にスカウトされた際、子供の頃のヒーローだったグウィンと出会った。2人が出会ったとき、グウィンはマスグローブが家庭で抱えている問題(父親の重病)について知りません。
学業の成績が落ちていたため、このままではサンディエゴ州立大学に入学できません。成績向上するためにグウインはマスグローブを支え大学に入学できるレベルに達しました。結果的にはマスグローブはブルージェイズにドラフト指名され大学進学は断念しましたが、以来9年間のメジャー・リーガーとして選手生活を送り、2021年からは故郷のパドレスで4シーズン目を迎えています。重病だった父親のマーク・マスグローブが見届ける前で球団史上初のノーヒットノーランを達成しています。
ジョー・マスグローブの成績はこちらをご覧ください。
打撃の先駆者
2024年シーズン途中にパドレスに移籍したルイス・アラエズ選手。2024年現在アラエズの通算打率.326は、通算打率.338のグウィンが2001年に引退して以降ではメジャー・リーグで通算最高打率です。(※イチロー氏の通算打率は.311)
パドレス加入後、アラエズの最初のミッションは、ペトコパークのトニー・グウィン像を訪れることでした。その場でアラエスは畏敬の念を抱きました。
ルイス・アラエズ選手の成績はこちらをご覧ください。
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— San Diego Padres (@Padres) May 29, 2024
野球界でもIT技術が浸透した2024年。打者が打席後にタブレットで自身のビデオを見る光景は当たり前です。グウィンは誰よりも早く1980年代にVHSテープを使ってそれをやっていました。
一昔前なら新聞が主な情報源であり、『パイレーツと対戦する。ああ、パーカーは4打数3安打で、2塁打とホームランを打った。彼には気をつけたほうがいい』と前日の結果だけで対戦相手を警戒していました。今は打者のホット・ゾーンを確認するためにビデオを見ることが重要ですが、グウィンはその時代からやっていました。彼は情報収集と分析の面でも先駆者でした。
(※このコラムはこちらの記事を参考にしました。)