2024年打者専念で臨んだ大谷翔平選手。トミー・ジョン手術後のシーズンであり、投手としてはリハビリの1年でした。打撃に影響を心配する声も多々上がりましたが、大谷翔平選手は50-50の前人未踏の記録をはじめ打者として過去最高の記録をいくつも更新しました。そしてチームを地区優勝とワールド・チャンピオンに導きました。MLBに移籍後最高のシーズンを過ごしたと言えます。
注目のMVP獲得は?
過去最高のシーズンを送り、チーム、個人の両方で優れた成績を収めた大谷翔平選手ですので、ナショナル・リーグのMVP獲得は確実、満票はあるのかに注目が集まっています。過去DHに専念した選手がMVPを獲得していない事実は今やどこ吹く風です。
2006年のデビッド・オルティス氏の悲劇
2006年のレッドソックスのデビッド・オルティス氏は二冠王など抜群の成績を残すもMVPを獲得することはできませんでした。MVPはミネソタ・ツインズのジャスティン・モーノー氏でした。
主な打撃スタッツ
名前
|
所属 | 試合数 | 打数 | 得点 | ヒット | 2B | 3B | HR | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 盗塁死 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
モーノー
|
MIN | 157 | 592 | 97 | 190 | 37 | 1 | 34 | 130 | 53 | 93 | 3 | 3 | .321 | .375 | .559 | .934 |
オルティス
|
BOS | 151 | 558 | 115 | 160 | 29 | 2 | 54 | 137 | 119 | 117 | 1 | 0 | .287 | .413 | .636 | 1.049 |
以上のスタッツからはオルティス選手が8個、モーノー選手5個でジャッジ選手が上回っています。
MVP投票
実際のMVP投票ではオルティス氏は3位。打撃成績はモーノー氏、ジーター氏よりも優れていると言えるでしょう。2006年はWARという指標はありませんでしたが、こちらでも3氏の中ではオルティス氏がトップです。
順位 | 名前 | 所属 | ポイント | 1位票数 | ポイント割合 | WAR | 試合数 | 打数 | 得点 | ヒット | 本塁打 | 打点 | 盗塁 | 四球 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | モ―ノー | MIN | 320.0 | 15.0 | 82% | 4.3 | 157 | 592 | 97 | 190 | 34 | 130 | 3 | 53 | .321 | .375 | .559 | .934 |
2 | ジーター | NYY | 306.0 | 12.0 | 78% | 5.6 | 154 | 623 | 118 | 214 | 14 | 97 | 34 | 69 | .343 | .417 | .483 | .900 |
3 | オルティス | BOS | 193.0 | 0.0 | 49% | 5.8 | 151 | 558 | 115 | 160 | 54 | 137 | 1 | 119 | .287 | .413 | .636 | 1.049 |
(※2006年のMVPの投票結果はこちらをご覧ください)
上記の数字だけでは評価できない貢献度はあるでしょう。ジーター氏のヤンキース、モーノー氏のツインズは地区優勝を果たしていますが、オルティス氏のレッドソックスは地区3位でした。
モーノー氏のMVPを批判する訳ではありませんが、オルティス氏の評価があまりにも低い点には疑問を呈します。
2024年の成績比較
2024年MVP候補3選手の打撃成績を比較します。
主な打撃スタッツ
名前
|
所属 | 試合 | 打数 | 得点 | ヒット | 2B | 3B | HR | 打点 | 四球 | 三振 | 盗塁 | 盗塁死 | 打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
大谷翔平
|
LAD | 159 | 636 | 134 | 197 | 38 | 7 | 54 | 130 | 81 | 162 | 59 | 4 | .310 | .390 | .646 | 1.036 |
リンドーア | NYM | 152 | 618 | 107 | 169 | 39 | 1 | 33 | 91 | 56 | 127 | 29 | 4 | .273 | .344 | .500 | .844 |
マルテ | ARI | 136 | 504 | 93 | 147 | 23 | 2 | 36 | 95 | 65 | 106 | 7 | 1 | .292 | .372 | .560 | .932 |
大谷翔平選手の打撃成績は他の2選手を圧倒していると言えます。
守備の貢献度
守備の貢献度のdWARの数字を見てみましょう。DH専念の大谷翔平選手は最下位の-1.7です。dWARトップは3.1であること、マルテ、リンドーア両選手はゴールド・グラブは獲得していません。もちらん守備の貢献度は高いのですが突出している訳ではありません。
順位(全体) | 選手名 | 所属 | dWAR |
30 | マルテ | Dバックス | 1.3 |
32 | リンドーア | メッツ | 1.2 |
197 | 大谷翔平 | ドジャース | -1.7 |
チームとしてもドジャースは地区優勝を果たしました。MLB前チームでもトップの勝率でした。メッツはポスト・シーズンに進出しましたが、Dバックスともに89勝73敗で、ブレーブスを含んだ3チームの直接対決の勝率でDバックスが落ちました。貯金16という成績は見劣りはしません。
投票は新聞記者が行いますので、個々人の評価の相違があり感情も作用するでしょう。前人未踏の50-50の評価がプラスをもたらすのか、本人は関与していませんが、シーズン初めの賭博疑惑の報道がマイナスに働くのか?
2024年11月21日(アメリカ時間)のMVP発表に注目しましょう。