2025年のメジャー・リーグが開幕して約1ヶ月。日本人選手の活躍が報じられていますが、その中でもメジャー2年目の山本由伸投手の活躍が注目されています。4月28日時点の主な成績は勝敗は3勝2敗、防御率1.06、奪三振数43、WHIP1.00、被打率0.109はいずれもトップ・レベルの成績です。
mlb.comでは山本投手のブレークの鍵を3つ分析しています。
絶品のスプリット
対戦相手は山本投手の投じるスプリットに対して50%以上空振りを喫しています。先発投手で球種別の空振率の中でもトップ・クラスの数値です。
投手名 | 所属チーム | 球種 | 空振率 |
ライデン・ループ | ジャイアンツ | カーブ | 57% |
マックス・マイヤー | マーリンズ | スライダー | 54% |
クリストファー・サンチェス | フィリーズ | チェンジアップ | 53% |
ジャック・フラハティ | タイガース | ナックルカーブ | 52% |
山本由伸 | ドジャース | スプリット | 51% |
ハンター・グリーン | レッズ | スライダー | 51% |
ローガン・ギルバート | マリナーズ | スプリット | 50% |
リース・オルソン | タイガース | チェンジアップ | 50% |
たとえ山本投手のスプリットがバットに当たったとしてもフライの打球にはなり難いです。スプリットが打たれた打球のゴロ率は95%です。その打球角度も脅威のマイナス19%です。内野手の間を抜けないとヒットになりません。長打はほぼ打たれていないと言えましょう。
全ての球種の品質向上
山本投手の主な球種はストレート、スプリット、カーブ、カットボールですが、昨年よりも球速が上がっていますし、変化量も大きくなっています。下のチャートは2024年と2025年の各球種の変化量を矢印で示していますが、変化量が大きくなっている事がうかがえます。
ストレート
スピン量(回転数)が多くなると、その効果としてボールが重力に対して落ち難くなります。つまり打者からは伸びているように錯覚します。
スプリット
リリース・ポイントを低くすることにより、平均球速が約145.4kmとスプリットの球速が速くなり、横の変化量が大きくなりました。横方向の変化量が約7.6cm増えていますし、縦の変化は約30.5cmに及びます。
カーブ
山本投手のカーブはリリース・ポイントから打者に達するまでに約150cmも落ちます。これはメジャーのとの投手の平均よりも約20cm変化量が大きく曲がります。
カットボール
山本投手のカットボールは約145.6kmの球速で最大で約14.8cmも動いています。2024年に投じたカットボールよりも約10cm変化量が大きくなりました。
抜群の制球力
山本投手の制球力は抜群でキャッチャーの構えたミットの位置に投げることができます。
ストレート
ストライク・ゾーンの両端に投げられたストレートは打者にとって容易に打つことはできませんが山本投手のストレートの約37%は両端に投げられています。この数値は今シーズストレートを100球以上投じた119人の投手の中でもトップです。
スプリット
山本投手はスプリットの制球力にも長けています。右打者の内角低め、左打者の外角低めのストライク・ゾーンに投げることができますので、ストレートとの組み合わせで打者を翻弄しています。
そして、この2つの球種にカーブ、カットボール、スライダー、シンカーを抜群の制球力で組み合わせることで完成度の高い投手に君臨しています。
対:右打者
6つの球種を組み合わせ、制球力を活かしコーナーに投げて打者を打ち取ります。
対:左打者
基本は高めのストレートと低めに落とすスプリットの組合せますが、時折カーブ、カットボールを差し込んで打者を翻弄します。
日本で沢村賞を3回獲得した山本由伸投手は2025年にサイヤング賞も狙える位置にいます。今後の活躍にも注目しましょう。
(※このコラムはこちらの記事を参考にしました)