メジャー・リーグ・ベースボール(MLB)とMLBプレーヤー協会(MLBPA)は2022年3月10(木)に新しい団体交渉協定について満場一致で合意に達しました。批准された場合には双方は覚書に署名することで、3か月間のロック・アウトを正式に終了します。これにより2022年のレギュラー・シーズンの開幕戦が4月7日に開催される見込みです。また、すべてのチームは春季トレーニングを3月13日(日)に開始し、オープン戦も3月17日もしくは18日から始まります。
MLBが開幕日を4月14日まで延期を発表した翌日、新たな合意に至らなかったため、各チームの最初の4つの対戦カードがスケジュールから削除されたと発表しました。 ただし162ゲームを実施するために削除された4つの対戦カードを再スケジュールすることを検討していました。
合意された主なポイント
新しいCBAは5年間有効で主に以下の内容が含まれています。
1. 最低賃金の引き上げ
・2022年:700,000ドル
・2023年:720,000ドル
・2024年:740,000ドル
・2025年:760,000ドル
・2026年:780,000ドル
初年度の賃金の増加は過去最大増加であり、以前のCBAの初年度の27,500ドルから約5倍増です。
2. 調停前の若いトップ・プレーヤーに報酬を提供する新しいボーナス制度
ボーナス金額は5000万ドルで、タイトルの受賞ならびに個人成績を客観的に解析した結果に基づいて上位100人のプレーヤーに分配されます。この解析手法はMLB,MLBPAで協議し決定します。
3. 競争力のあるぜいたく税(バランス税)の引き上げ
・2022年:2億3000万ドル
・2023年:2億3300万ドル
・2024年:2億3700万ドル
・2025年:2億4100万ドル
・2026年:2億4400万ドル
2021年から22年の2,000万ドルの増加は最大で、これまでの増加額の約2倍です。
4. ドラフト制度の改正
・指名権の抽選はポスト・シーズンに進出できなかった18チームを対象に行います。
・上位指名6巡目までの指名権の順位はこの18チームが抽選で行う。
・オッズ(抽選で当選する勝率)は前年のチーム成績の下位が有利になるように設定されており、下位3チームの選択権獲得の確立は逆順に基づいており16.5%です。
5. 国際ドラフト制度
・2022年7月25日までに国際ドラフトに同意することと引き換えに、MLBはフリーエージェントの適格なオファーシステム(ドラフトピックの直接報酬)を廃止する。
・国際ドラフトでは20ラウンド(合計600人の選択)まで選択できる。
・ドラフトで指名されたプレーヤーには、契約金が保証される。
・野球の発展途上国(過去3回の契約期間で選手契約が0.5%未満の国を対象とする)からプレーヤーを選択するチームは、上記20ラウンド以上の選択権が追加される。
6. その他の情報
・ポスト・シーズン進出チーム数が現行の10チームから12チームに拡張
・ナショナル・リーグでの指名打者の導入
・新人賞の投票で1位または2位を獲得した選手は、翌年1年間のメジャー出場が可能に
合同委員会の形成
合意の一環として合同委員会が形成され、2023年からは4人の現役プレーヤー、MLBにより任命された6人のメンバー、1人の審判員でこの委員会は形成されます。2023年以降も委員会による審議は継続され
1. ピッチ・クロック(ピッチャーがバッターに投球する時間を制限)
2. ベース・サイズ(ベースのサイズを大きくすること)
3. ディフェンシブ・ポジショニング(極端な内野シフトを認めないこと)
4. ロボット審判の導入(ストライクとボールの判定にロボットを採用すること)
などのプレールールの変更を検討します。
以前の契約では、MLBは1年前に通知することで一方的にルールの変更を実施できる権利を持っていましたが、新しいシステムでは、MLBとMLBPAの協議・合意により、ゲームをよりタイムリーに改善できるようになります。
これで未契約のFA選手の契約の動きも活発になると思います。日本人選手では菊池雄星投手、鈴木誠也選手、大物プレーヤーではフレディ・フリーマン選手、カルロス・コレア選手、クリス・ブライアント選手、トレーバー・ストーリー選手の所属球団に注目しましょう。
(※このコラムはmlb.comのこちらの記事を参考にしました。)