大谷翔平がまだ見ていない頂点はあるのか?
大谷翔平選手がこの2シーズンにメジャー・リーグにどれほど貢献したかという絶対的な大きさ。彼にこれ以上のことを求めることは本当に失礼です。
しかし彼にそれができたらどうしますか?
大谷翔平選手は2021年にMVPを受賞しています。WBCでも日本代表の優勝に貢献しMVPにも選ばれました。エンゼルスのチームメイトであるマイク・トラウト選手を三振で仕留めるという最高の舞台でMVPに選出されるにはふさわしい締めくくりでした。
大谷選手は2021年に9WAR、2022年には9.6WARを記録しています。1900年以降3連続で9WAR以上を達成した選手は7人しかいません。それはアメリカ野球殿堂入りしている6氏 (ベーブ・ルース、ボブ・ギブソン、レフティ・グローブ、ミッキー・マントル、ロジャース・ホーンズビー、ウィリー・メイズ) と、MLB 史上最多本塁打王のバリー・ボンズです。大谷選手は8人目になる可能性を秘めています。
これだけの実績を積んでいますが、大谷選手のベスト・シーズンを見せてくれるい可能性はまだ十分にあります。 二刀流のスーパー・スターは次にこんな頂点を見せてくれるのではないかと期待してしまいます。
打撃部門
ホームラン:45本以上
WAR:5以上
打撃について、大谷選手の2022年の成績は2021年には及ばないものの以下に記載したあらゆる打撃部門はトップ・レベルでした。
年 | 打席 | ホームラン | OPS |
2021年 | 639 | 46 | .965 |
2022年 | 666 | 34 | .875 |
ハード・ヒット・レート | 92パーセンタイル |
バレル・レート | 98パーセンタイル |
長打率 (xSLG) | 99パーセンタイル |
xwOBA | 98パーセンタイル |
(※パーセンタイルは、データを大きさの順にならべそれを100個に区切ります。そして該当する数字が小さいほうから数えてどの位置にあるかの指標です。)
2022年は2021年に比べると落ちています。しかしこの2年の違いは、ボールをどれだけうまく打ったかではなく、どのポイントで最高のコンタクトをしたかでした。
大谷選手のライト方向への引っ張った打球、プル・レート(右方向への打球の割合)は46.6%から36%へ減少しました。バレルの範囲で打った72回の打球のうち23 回 (31.9%) がライト方向(プル)でした。2021年は78回の打球のうち40回 (51.3%) がライト方向(プル)でした。
大谷選手はすべて方向に打つ力を持っていますが、ライト方向の打球はセンター方向、レフト方向よりも高い率で本塁打を放っています。
ライト方向:60.3% (38/63)
センター方向:50.9% (29/57)
レフト方向:33.3% (10/30)
2023年40本塁打以上を打つためのポイントはプル率の向上だけかもしれません。大谷選手の野手としてのWARは2022年が3.4、2021年は4.9でした。
投手部門
防御率:2.00以下
WAR:6以上
大谷選手は2021年夏にピッチングの修正を行う事でそれ以降、つまり2022年の投手成績はメジャー・デビュー以来最も優れていました。以下のデータからもそれは読み取れます。
投球回 | 防御率 | FIP | 三振率 | 四球率 |
166 | 2.33 | 2.40 | 33.2% | 6.7% |
直球の速度 | +2.1 mph | 上昇率5位 |
空振り率(Whiff rate) | +4.1ポイント | 上昇率22位 |
奪三振率 | +3.8ポイント | 上昇率22位 |
ハード・ヒット率 | -6.7ポイント | 下降率27位 |
(※上昇率、下降率は228人の投手中の順位です)
投手としての WARは2021年の4.1から2022年には6.2と上昇しています。2022 年の最後19 試合では防御率1.67、FIP2.03を記録しました。
成績の向上は「スイーパー」と言われるスライダーの使用率の上昇と相関しています。2021年後半から多用し、2022年7 月には全球種の40%を越えました。
大谷投手のスイーパーは、2022年のMLBで2番目に価値のある投球でした。これはディラン・シーズ投手のスライダーに次いで、サイヤング賞のサンディ・アルカンタラ投手のチェンジアップと並ぶランクでした。
2022年シーズンの途中からはシンカーを投げ始め球種のレパートリーをさらに広げました。野手と投手のWARの合計は11を超える可能性があります。
WAR11の凄さ
1シーズンでWAR11以上を記録した最後の選手は2002年のバリー・ボンズ氏の 11.8でした。近年数名の選手がそれに近づきました。
2012年/2016年 | マイク・トラウト | 10.5 |
2018年 | ムーキー・ベッツ | 10.7 |
2022年 | アーロン・ジャッジ | 10.6 |
1シーズンでWAR11は歴史的にどれくらい貴重なのか。1976年以降では5人のプレーヤー (合計6シーズン) しか達成していません。
バリー・ボンズ:2001年、2002年
ペドロ・マルティネス:2000年
ロジャー・クレメンス:1997年
カル・リプケン・ジュニア:1991年
ドワイト・グッデン:1985年
大谷選手の次の頂点はWAR11かもしれません。
(※このニュースはこちらの記事を参考にしました。)