インダクションセレモニー当日は朝から雨模様。渡米前からイベント当日は雨の予報でしたが前日までは雨に見舞われることはありませんでした。しかしメインイベントのこの日に限っては雨それも本降り。日本人初、東洋人初のイチロー氏の野球殿堂入りの熱気に水をさすスタートでした。イベント事務局から情報が発信され、インダクションセレモニーの開始時間を1時間遅くするとの情報。あらためてスマホで天気予報を再確認しますと午後から天気が回復するようです。天は味方してくれました。
VIP席と一般席
インダクションセレモニー会場は大別しますと、VIP席と一般芝生席に分かれます。VIP席は椅子があらかじめ用意されていますが、指定席ではありません。少しでも良い場所を確保するために開門の13時よりも2時間近く前から並んでいる人もおりました。2025年の特徴はVIP-2席のエリアが拡大していました。そして過去の経験ではこのエリアはマスコミやイベント関係者席で一部の一般人が後方に座れる程度でしたが、2025年は一般人に優先的に席が提供されていました。一般人とは野球殿堂博物館のハイクラスのメンバー、野球殿堂博物館認定の旅行会社が企画するハイクラスのツアー客です。筆者は永久会員ですが、プレジデント・サークルにアップグレードするも席はVIP-3Aでした。つまり良席の確保にはお金を積む必要があるということです。
VIP席
ステージ前の区切られたエリアがVIP席です。入口でスタッフがVIPチケットを確認した上で入場できます。あらかじめ椅子がならべられており、スタッフがペットボトルの水、Hall of Fameの最新号の雑誌を配布してくれます。
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VIP-1
2025年のVIP-1は最前列から14列あり、殿堂入りしたレジェンドの家族・親族・球団関係者が座る席です。
VIP-2
その後ろにVIP-2の席が18例あります。2024年までの経験ではこの区画はメディア関係者をはじめいわゆる仕事で参加している人々の席でして、その後方にようやくツアー客が座れました。ところが今回このエリアは一般客が大勢を占めていました。アメリカの旅行会社が企画したツアーでもっとも高いツアーの客、さらに今回は日本の旅行会社もツアーを企画していましたので、高額のツアーの客はこのエリアに座ったと思います。
VIP-3A
続いてVIP-3 ですが、前方10列が3Aで後方32列が3です。野球殿堂博物館のコントリビューター、プレジデント・サークル、ベネファクターの会員に提供される席です。野球殿堂博物館のスタッフに質問するも3Aと3の違いは明確にはわかりませんでした。後日イベントに参加した一般人の方のサイトには、長期間会員を続けていると優先的に3Aに案内されるのではという予想でした。筆者は2025年が21年目ですし、現在では永久会員になっていますので3Aを提供頂けたのでしょうか !?
芝生席
VIP席の両サイド、後方の芝生は自由席です。好きな場所を選び座わります。ツアー参加者は会社があらかじめ椅子を用意していますので場所取りは不要です。フリーの方は自分で椅子を持参し場所を確保します。仲間たち複数人で来るファンはテントを張って場所を確保する人もいます。
感動のHall of Fame Induction Ceremony!(2024年版)
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9時過ぎから雨が上がり日も差すようになりましたが、その後はまた本降りの雨に見舞われる時間帯もありました。雨が上がるのか空を見上げつつ、時を待ちました。そして野球殿堂博物館から無料のシャトル・バスで会場のクラーク・スポーツ・センターを目指します。
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VIP席の開門はおおよそ12時でした。開始時間の2時間半前です。会場に到着するとVIP-3席はかなり席が埋まっている状態です。VIP-2も前方の席はまずまず埋まっています。雨が上がるのを待ちくたびれたファンが我先にと席を確保していきます。
インダクションセレモニー
午後幸いにも雨が上がりました。太陽が顔を出しますと湿気を伴った日本のような気候になりました。観客数はメディアにより多少の違いはありますが、公式報道では約30,000人の観客数と発表されています。いよいよメイン・イベントが始まります。式は、殿堂入りしている先輩レジェンド達の入場から始まります。彼らの功績が読み上げられ大型モニターの画像を交えた演出は見応えがあります。2025年も約50名のレジェンドが前日のパレード共々参加してくれました。メジャー・ファンにはたまらない光景です。
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先輩レジェンドに続いて2025年に殿堂入りした新メンバー5人が紹介され席に着きました。
アメリカ野球殿堂博物館の理事会 会長(Chairman of the Board of Directors)
Jane Forbes Clark(ジェーン・フォーブス・クラーク)氏の挨拶からイベントが始まり、冒頭では最近他界されたリッキー・ヘンダーソン氏、2025年に殿堂入りを果たしたデーブ・パーカー氏の功績が紹介され黙とうを捧げました。本当に無念だったと思います。また本イベントに参加予定のライン・サンドバーグ氏もInduction Ceremony翌日に訃報が伝えられました。パーカー氏は74歳、サンドバーグ氏は65歳と早い旅立ちです。そしていよいよイベント本番です。
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2025年は、ビリー・ワグナー氏、デーブ・パーカー氏、ディック・アレン氏、CCサバシア氏、イチロー・スズキ氏の順番です。パーカー氏は息子さんが、アレン氏は奥様が代理でスピーチをしました。みんな今日ここにたどり着いた過程でサポートして下さった、恩師、監督、コーチ、チーム・メイト、球団関係者そして家族への心からの謝意、謝辞が胸を打ちます.特に1ヶ月前に他界されたパーカー氏はこの日の原稿を用意しており、息子さんが代読した時は涙ものでした。
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イチロー氏のスピーチ
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そしてアジア人初、日本人初の殿堂入りイチロー氏が大トリでスピーチを務めます。既報の通りイチロー氏は原稿は用意されているものの、約20分のスピーチを英語で話しました。唯一ネイティブではないイチロー氏でしたが、この日のスピーチも野球同様、入念な準備が伺えるものでした。スピーチのストーリー、スピーチの話法・技法、適度なジョーク、壇上での所作・振る舞い。同じ日本人としての贔屓を差し引いても、トリを務めるに値する完璧なスピーチでした。
・殿堂入り投票で1人だけイチロー氏に投票しなかった記者を夕食会に自宅に招待すると発言していたが、それが期限切れになったというジョーク。
・日本人プレイヤーでもメジャーで通用することを証明し、後輩にメジャーの道を切り拓いてくれた野茂英雄氏への謝辞。
・晩年契約をオファーして下さったマーリンズ。その球団を知らなかったというジョーク。
・マリナーズの往年のラジオ・アナウンサー、リック・リズ氏のアナウンス「Holy smokes ! Another laser-beam throw from Ichiro !」を真似て、今でも現役選手の練習のサポートができる体力を維持していること。
・ワグナー、サバシア、アレン、パーカーの4氏と同じタイミングで野球殿堂入りできたことに対する喜びのコメント。
イチロー氏は野球のみならず、引き受けた仕事には真摯に向き合い、入念な準備をし、最高のパフォーマンスを届ける。野球選手としての現役を終えた今も、人々の琴線に触れる生き様は見事です。日本人として誇らしいイベントに参加でき感無量です。
今回登壇した5名。英語がネイティブでないイチロー氏でしたが、最後に全部を持っていった感のある素晴らしいスピーチだったと思います。この日を待ち望んでいただけに万感の思いです。
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